村田亙 オフィシャル ウェブサイト

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専修大学ラグビー部監督 村田亙 インタビュー 第3弾


平成30年度関東大学春季大会を控える中、大会への意気込みと新入部員に関して村田亙監督にお話を伺った。

――今年度、新入部員は19名ということですが、全体的な選手の特徴をお聞かせください。
 FW(フォワード)とBK(バックス)でいえば、BKのほうがやれる選手が来たなと、すでに身体ができているような選手だったり、全国高校選抜大会で日本一になったメンバーとか、花園で活躍した選手だったり。そういう選手はBKのほうに多い。FWは、そこまで大きいっていう選手はいないけど、芯が詰まったしっかりした選手が多い。

――専修大学ラグビー部のFWの選手とBKの選手の人数はどちらのほうが多いのですか。
 両方ともまんべんなく、1番から15番までの15枠を獲得しているので半々です。今年は、1期で14人、2期募集で2人入って、指定校推薦で3人、合計19名の新人が入ったので部員総数は78名。 例えば、3年前にスカウトした山極(大貴)選手はうちに入ってからも1㎝伸びて、198㎝ある。たぶん大学一大きなLO(ロック)で、この2年間ですごく成長してくれた1人。 山極の代は、やっぱり3年前に1部に上がった時の翌年のスカウトだったので、みんな1部でやろうと入ってきた選手たち。 その年は16人のスポーツ推薦の中8人は180㎝オーバーの選手が取れた世代。私と大東ヘッドコーチで指導できるギリギリの数なのかなと(笑)。

――監督と部員の仲は良いですか。
 良いかは分からないけど(笑)。向かうところは一緒なんで悪くはないと思う(笑)。昨年の結果で言うと、2部で優勝して入れ替え戦も勝った。 ジュニアチームも入れ換え戦に勝ってカテゴリー1つ上げてトップ10に入った。2部全勝、全部勝って達成できたから、それはチームとしては雰囲気も良かった。 私がラグビー部の監督になった6年前と比べれば、チームが同じ方向に向いているなっていう実感はある。

――監督が新入部員で特に期待している、試合でカギになると思う選手はいますか。
 BKだったら、堀田南雄斗WTB(ウィング)は、東福岡でも秋からレギュラーになって、公式戦全試合スタメンで出場し、サイズも180㎝で体重もすでに2、3キロ上げて89kg。 それでもって足も速いし、この前も1㎞シャトル走ではチームトップでかえってきた。そういうところを見せてくれると、こっちも使いたくなる。試合で出してみてどれだけできるかっていうところを見たい。 あとCTB(センター)の岩佐尭弥は久しぶりに、報徳学園から入った選手。報徳学園のBK出身者は最近みんな明治(大学)に行って活躍している。その報徳学園のレギュラーBKがウチに来た。 体重は90kg位あるけど、足も速いし、パスも上手いし、魅力がある。FWは、ブラウン健人、ハーフの子なんだけど、まだPR(プロップ)始めて半年。 スクラムを組む中でも165㎝くらいしかないけど、体重は100kgぐらいある。昨年、昌平高校からセレクションで獲得した選手。 お父さんがニュージーランド人でお母さんが日本人。もともとはセンターで中学選抜。昌平高校に行って最終的にはPRになって、昌平高校が花園初出場したときの原動力にもなった。 春には決まっていたけど、取って良かったという選手だし、花園では2回戦で東福岡(高校)相手に負けたけど、スクラムは押していたからね。これは面白いし頼もしい、これからさらに強くなると思う。


全国選抜大会視察スカウト活動
熊谷ラグビー場

――監督がスカウトする際に基準や一番大事にしているところはありますか。
 この選手って決めたら、一番に監督に「ひと声をかけていいですか」って伝えて、「もし興味があったら専修大学に」って声掛けをします。 例えば、東福岡高校の日本代表クラスの選手に来てくれって言っても専修大学が弱いと誘うに誘えない。 高校のトップの選手を誘うのに、専修大学の上にいる約20の大学が良いって言えば、もうその時点でその選手の獲得倍率は20倍になる。 それでもトップの選手獲得を狙いつつ、この子は秋、出て(伸びて)くるかもしれないと言った選手には一声かける。堀田南雄斗選手は5月の時はまだAチームではなかった。 しかし、その選手を見込んで、一番に誘ったことで興味を持ち、専修大学でやりたい、と言ってくれた。その後、秋にはレギュラーになって活躍。 そういう選手を獲得できると嬉しい。無名の選手でも、ここにきて指導して、日本代表とかに絡んでくるような選手を育てることができれば自然にチームも強くなる。 3年生の山極選手なんかは本当に無名も無名で全国とかも出ていないけど、それをあの身長だけで、将来を見据えて何度も会いに行って誘った。 そういう選手を見つけては勧誘するのも私の仕事。監督といえども、全国を見てスカウトをして、指導もして、高校の監督ともいろいろ話を聞いたりしている。 だから常に大会がある現場に行く。この間は大東HC(ヘッドコーチ)に北海道まで行ってもらった。大東HCはFWで北海道出身だから、FWを見る目はある。 私はここに入ってくる前は、7人制の日本代表の監督をやっていたけど、そういう意味ではトップリーグでも、目立たない選手でも、足だけ速いとか、そういう選手はセブンズ向きだから引っ張ってきて、 セブンスプレイヤーに育ててきた。2016年リオデジャネイロオリンピックに出場した7人制ラグビー日本代表選手(バックアップ含む)14名中半分の7名は当時私がスカウトした選手たち。 この10年間で何人もの選手たちを日本代表やスーパーラグビー(SR)サンウルブズに送り込んだことを考えると、選手を獲得する先見の明は多分あると思う(笑)。


7人制日本代表野口、アメリカで活躍!

――セブンスの話で野口選手がいますが、監督からセブンスへの挑戦を勧めたりしましたか。
 野口は2年前にセブンズでブレイクして、その時は決勝では東海大には負けたけど、2部でも流経大や中央大に勝ったりして、野口が目立っていたので、その時元監督だったこともあって、セブンズの総監督の岩渕に、 「ちょっと見てくれないか」と相談した。初めて練習生として連れて行ったらこれは面白いってことになり、合宿や試合をする度にどんどん伸びて、秋には日本代表になり、アジア大会に行って、優勝を持って帰ってきてくれた。 当然トップリーガーとかいっぱいいるからレギュラーってわけではないけど。それでも今、セブンズに限っては、野口の右に出る選手は一人もいない。野口みたいな選手が出てくるとやっぱ嬉しい。 監督冥利につきるというか、指導者冥利につきる。

――今年の新入部員に期待していることはありますか。
 よく専修大学を選んでくれたということと、私から誘って来た子も中には2期募集の選手もいる。いま約1ヶ月間専修大学でやってきて、チームの雰囲気やここの環境や施設を見て、本気でトップを目指していると感じたと思う。 特に今年の1年生は飲み込みが早い。なので4月末の試合からは新人も出していきたい。堀田や岩佐とかはすでにトップクラスのスキルを持っているから、試合でどれくらいできるだろうというところが本当に楽しみ。 その2人はもう上級生と同じ重い重量を挙げている。その他の選手も個性がある選手が揃った。1年目から思いっきりチャレンジして欲しい。 今シーズンは3年ぶりに1部で戦うことができるので、新人たちもしっかり身体を作ってAチーム出場を目指して欲しい。楽しみにしています。

――1部に昇格したことで練習の感じなどに変化はありましたか。
 4年生が変わった。昨年の松土組4年生がすごい仲が良くて。その4年生も見てきた下級生は本当に幸せ者で、次のチームがジュニアもしっかり結果を残して勝ってくれた。 彼らは彼らで自信持っているし、昨年の3年生以下のレギュラーとジュニアのレギュラーは今、争っているところ。 今年1部で出来るから本当に相乗効果のように、さらに今まで以上にコミュニケーションが取れているのは実感できるし、「3年生個性強いな」って言っていたのがもう半年前だけど、もうすでに今の4年生は「結束」している。 そういった意味でも本当に今年のスローガン、「UNITY、結束」を表していると思う。

――昨年はフィジカルを強化しましたが、今年度、新しく取り組んでいることはありますか。
 今年度も、週6でフィジカル、スキルを中心にあげてきた。私がフランスで体感したフレンチスタイルで、専修スタイルを構築中。 フランスラグビーがベースにあり、FWにもパススキルが求められるので、スクラムを組む大きな選手でも前に出るフリをしてパスを放ったり、そういう表裏を使うようなラグビーを行なうためにやってきた。 特にこの2月、3月はウェイトやって、すぐあとにスキルトレ30分。食事して、寝て、起きて、午後はチーム練習やって、スキルやって、またご飯食べて早く寝て。 そういうプロ生活みたいな合宿を春休みでできた。みんなこれから試合期の第3クールに入ってくるので、やってきたことを色々と試合で試して見たい。 本当に段階的には昨年同様、良い感じできている。試合では、専修ラグビーはボールをつなぐ、どっからでも外までつないで、グラウンド全体をつなげて、フレンチスタイルを貫く。 ボールをたくさん回して、時にはキックでも前進を図る事もあるけど、ただ蹴るだけじゃなくて、キックパスも使いながら、今年は昨年以上にバリエーションを増やして、見ていても楽しいラグビー、やっていても楽しいラグビーを追及していきたい。 アタックし続けるラグビーができれば本当に負けないチームができるのかなって思う。


2-3月トレーニング期

――春季大会が5月から始まりますが、その目標をお聞かせください。
 春季大会は1部に昇格した3年前にもそのカテゴリーでは優勝しているので、もちろん優勝を目指します。そこで弾みをつけていきたい。リーグは5試合あるので1戦1戦大事に戦って、選手たちにもいろんなポジションを与えたい。 結果がすべてじゃないけど、春季大会はとにかく最終的には優勝することが1番の目標です。

――春季大会の勝利のカギとなる選手
 去年の入れ替え戦でも活躍した9番、10番。特に10番の郡司(健吾)は去年、前半だけで一人で3トライも入れた優秀な選手。9番の高橋(昂平)は今年のキャプテン。 高橋と郡司を中心にうまくゲームコントロールをするだろう。その郡司のところに1年、2年時にレギュラーだった石原武や2年生になった夏井(大)が絡んで来る。 去年はジュニアチームを優勝昇格に引っ張ってもらったけど、そこのポジション争いも熱いと思う。

――4月末のオープン戦では國學院大學が相手ですが、選手に期待していることはありますか。
 一応位置づけはセレクションマッチ。均等割り、A,B,Cをつけないで、同じチームをまず二つ作る。 均等割りにしてもやることは一緒だから、自分のポジションでどれだけチームプレーができるかを見たいし、 チームプレーをやりながら、自分をどれだけ出してアピールして、4日後に組まれている立教との春季大会初戦に向けて、レギュラーを取って欲しい。 この試合は一番熱い戦いになるかもしれない。相手はいるけどね。そこは春季大会のレギュラーを決めるセレクションマッチっていう位置づけにしてあるから、そこでまずは個人で魅せて欲しい。

――専修大学ラグビー部全体の雰囲気はいかがですか。
 雰囲気はいいと思う。私自身がポジティブだから(笑)、やっぱりポジティブなところに笑顔が広がる、集まるというのかな。 うちはネガティブワード禁止、本当に当たり前なことができるようなチームであって欲しい。だから当初から規律を守ることはルールを守ること。 ジャージの背中には「discipline」って言葉が入っていて、しっかりと規律を守ったチームを作ってきた。反則も一番少ないチームだと自負しているので、3年前も2年前も春季大会に出場したときは2年連続でベストマナー賞を受賞している。 昨年ひとつも負けなかった事もあって本当にチームは雰囲気が良くて、負けても逆に反省できるからそこで切り替えて、すぐポジティブになって、次の試合に挑めるようなチームを作っていきたい。今は本当にいい雰囲気でやれている。

――先輩と後輩の仲はいかがですか。
 いいと思う。今は上級生がすごいお手本を見せてやってくれている、伊勢原は本当に食事が美味いので、食事が美味しいから会話が弾む。 だけど、個人的には話が弾んでも、食トレっていうようにもっと意識してしっかり食べて欲しい。そういうことは、食事リーダーの束田が管理して伝えているはず(笑)。 本当に昔みたいな、怖い先輩がいるっていうのはほとんどない。逆に先輩はしっかり後輩の面倒を見ることによって後輩たちも「ああいう先輩になろう」っていう風になってきていると思う。 本当にここ数年強くなった要因にチームの仲の良さっていうのがあるのかもしれない。

――今年度卒業する新4年生への期待
 4年生以外にも全員に期待しています。特に高橋キャプテンとバイスキャプテンの松浦、石川。石川は2年の頃は全試合レギュラーで出ていたけど、昨年は1試合もレギュラーじゃなかった。 ジュニアチームを引っ張ってくれたメンバーで、もう一度レギュラーに戻りたいだろうし、昨年はそのポジションに徳田隆之介というエースがいた。今年は自分がそのポジションの獲得を目指している。 バイスキャプテンの松浦はスーパーブーツでキックをほとんど決めてくれる。昨年8割決めてくれた。松浦もキックで貢献できると思う。高橋はもう言うことないっていうか困ったときには相手ボールも持ってくるぐらいのパワーを持っている。 このスタッフ3人を中心に4年生が一丸となり、チームを引っ張って欲しい。

――今年度の目標をお聞かせください。
 大学選手権出場。3位以内に入らないと大学選手権にはいけない。すごく狭き門でハードルが高いけど、もうもちろん20年近く行っていないから。 「大学選手権出場」、その為にリーグ戦で3位以内を目指します。

取材日:2018年4月7日
聞き手:専大スポーツ高田康平


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